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トラック輸送を巡る「人間vsロボット」の闘いが始まった──米上院の自律走行法案が火付け役に

トラック輸送を巡る「人間vsロボット」の闘いが始まった──米上院の自律走行法案が火付け役に

 

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恰幅のいい国会議員だらけの演壇は、きっと戦場のようには見えないだろう。だが間違いなく、人間と、人間に取って代わろうとする自律走行車との闘いはすでに始まっている。そして人間は、最初の小競り合いに勝ったに過ぎない。

米上院は2017年9月28日朝(米国時間)、自律走行車の規制について管轄の明確化を目的とする初めての法案を発表した(この法案は、2017年夏に下院を通過した法案と同じく、自律走行車の設計に関する監督をおおむね連邦政府に委ねるものだ)。

発表の数週間前に上院議員が配布した規制草案は、下院を通過した法案と大きな違いがある。上院では、トラックやバスのような商用車に関する当初の言及が削除されたのだ。こうした大型車両が法案の対象外になった結果、自律走行トラックに関する規定の今後についてはまだ不透明だ。

Uberやテスラ、アマゾンにとっての敗北

今回の件は、急成長している自律走行トラックの関連業界と、Uberやテスラ、アマゾンのようなイノヴェイターにとっては、小さいが注目に値する敗北となる。これらの企業はいずれも、自動運転の大型トラックの製造や販売、利用を望んでおり、そうしたトラックに適用される明確な国内規定を求めてロビー活動をしてきたからだ。

一方、ワシントンでの影響力が1980年以降、急激に低下している労働組合にとっては、早々の勝利と言える。もっと具体的に言えば、全米のトラック運転手約60万人を代表し、少なくとも当面は商用車を議題から外すよう国会議員に求めてきた、全米トラック運転手組合(Teamsters=チームスターズ)にとっては勝利だ。

チームスターズの代表ケン・ホールは、9月に開催された自律走行トラックに関する上院の公聴会で、「商用の自律走行トラックに立ちはだかる問題は、乗用車が直面している問題とは根本的に異なるものであり、もっと悲惨な結果を招く恐れがあります。独自に慎重に検討するのが当然です」と述べた。

トラック輸送が、自律走行車に導入されようとしている規制の焦点となっているのは当然だ。技術的観点から見てトラックは、個人が所有するクルマやタクシーよりも、自動運転技術を導入しやすい。大型トラックは主として、長い直線道路が続き、レーンマーカーや標識も明白であることがほとんどである幹線道路を走る(対照的に都市で走行する場合は、自転車やバイク、歩行者、交通信号など、もっと変動の大きい要素がある)。

トラックの交通事故による死亡者数は非常に多く、米国では年間約4,000人に達しており、自動運転は安全面で明らかにメリットがある。経済的メリットも明らかだ。米国ではトラック輸送業界は6,760億ドルの規模があり、輸送のスピードアップや効率化、運転手にかかる人件費のカットが行われれば、利益は向上すると考えられる。

自律走行トラックには必然性がある。2016年に実施されたデモンストレーションを見てほしい。大型トラックの運転手が自動運転モードに切り替え、後部座席に移動するデモンストレーションである。トラック技術会社Starsky Roboticsの創設者ステファン・ステルツ=アクスマカーは、「売り上げをもたらし、真のビジネスを構築しつつある本物の製品として、商用の自律走行車の市販化をもっと急ぐべきです」と言う。

だが、自律走行トラックの可能性に関しては疑問も生じる。本当に安全なのか? サイバーセキュリティは大丈夫なのか? そして批判的に見ると、米国のトラック運転手340万人から生活賃金を奪うことになるのではないか? トラックの運転手は、20州以上で最も人気の職業であり、大卒でなくてもそこそこの収入(平均で年間約4万1,000ドル)が得られる希少な仕事だ。

コンピューターがトラックを運転した場合

立法の場において今回初めて繰り広げられた闘争の結果は、ある意味ではそれほど重要ではない。ロボットトラックがちゃんと機能するか、どれだけの雇用が失われる可能性があるか、現状では不明だからだ。可能性は無数にある。

新興企業のPelotonは、「運転手が交代制の」トラックの開発に取り組んでいる。複数の車両群が無線接続でやりとりし、移動時間を調整するという発想だ。このシステムでは近いうちに、先頭車両の運転手がしばらく操縦を引き受けている間に、後続車両の運転手は居眠りや、たまっている書類仕事、瞑想など何でも行えるかもしれない。

カリフォルニア州を拠点とするEmbarkは、州間高速道路では運転手の監視下でトラックが自動操縦するが、倉庫に入れるときは、もっと機敏な人間が運転するようにしたいと考えている。Starsky Roboticsも似たような構想を抱いているが、ロボットにとって難しい運転操作については、米空軍が使用している無人航空機「RQ-1 プレデター」のように、遠隔地にいる人間が行えるシステムだ。これらの企業が、人間の出番を完全になくしたいと思っている、またはなくすことができるのかどうかは不明である。

米トラック輸送協会(ATA)のクリス・スピア会長兼最高経営責任者(CEO)は9月の上院公聴会で、「現在開発中の自動化技術は、運転手の助けとなって、安全性や生産性を向上させるものです。近い将来にトラック運転手の仕事がなくなることはないと確信しています」と語った。

いずれにしても、チームスターズは懐疑的だ。同組合における立法に関する代理人であるサム・ローシュはこう語る。「問題は雇用喪失だけではありません。運転手の労働条件がどうなるのかという問題もあります。運転していないからと主張されて、運転手が24時間連続で働くことを会社に強いられるかもしれません。その場合、運転手の生活をどうやって守ればいいのでしょう?」。自動化によって人間の必要性がなくなることはないとしても、人間の仕事がもっとつまらないものになる可能性はある。

自動運転をめぐる政治

チームスターズは、この闘いを先送りしただけで、大して勝利はしていないというほうが正確かもしれない。いつか、自動運転技術の用意が整い、人を使わずにそうした技術を利用したいとする者が現れる。そうした者たちは、トラック運転手をターゲットにしたあと、タクシー運転手やお抱え運転手、駐車係、ガソリンスタンドの従業員、そしておそらくマイカーの運転者に依存する仕事をしているほかのあらゆる者に向かっていくだろう(自動運転革命に刺激されて、多くの新しい仕事が生まれるはずだが、「明日の百より今日の五十」というように、確実な利益のほうが大事ではないだろうか?)。

それでも、今回のことは勝利と言える。トラック輸送業界は、世間一般の通念に逆らって、政府に規制強化を求めている。州によって規制が異なり、州境をまたぐと余計な書類仕事が大量に必要になる現状を、連邦政府の規定が変えてくれるだろう。

Starsky Roboticsのステルツ=アクスマカーは、「多くの州の規制当局は、連邦政府に指針を求めています」と言う。自律走行トラックに関して明確化されていないと、資金調達がさらに難しくなる。また、連邦法が商用車について規定していないと、「進歩が大幅に遅れる」可能性がある。

Embarkの政策責任者であるジョニー・モリスは、「自動車への対応とトラックへの対応が異なると、不確実な状況になります。技術が安全で、人の命を救うと証明できれば、利用例や車両の種類に関係なく道路を走らせるべきです」と語る。

これらの企業や、その提携相手である大手テック企業にとって、事態が遅すぎるということはない。上院の法案は、最終案にはほど遠い。上院商業委員会で審議され、採決されたあと、同じく商用車を対象外にしている下院の自律走行車関連法案とともに、両院協議会にかけられる。都市の通りを自律走行車で移動するのは複雑だと思うなら、今回の立法手続きも複雑な道をたどるだろう。

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